賃金引き上げに向けた取組事例
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CASE STUDY 13
賃上げ取り組み事例 -
セコム株式会社
サービス業(警備)
2023/3/20
労働組合との密な対話から従業員の状況を捉え、タイムリーな施策を講じることで、組織全体の活性化に繋げる
- 企業データ
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- ●代表取締役社長:尾関 一郎
- ●本社所在地:東京都渋谷区神宮前1-5-1
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●従業員数:<セコム株式会社単体>16,279名(2022年3月末現在)
<セコムグループ全体>64,421名(2022年3月末現在) - ●設立:1962年
- ●資本金:664億円(2022年3月末現在)
- ●事業内容:サービス業(警備)
柔軟な対応で急激な物価高騰から従業員を守る
近年の急激な物価上昇は国民の生活に大きな影響を及ぼしており、同社の従業員も例外ではない。そこで同社は従業員の生活への不安を払拭するため、2022年4月に3,000円のベースアップを組合員約14,000人に対して実施した。また2022年の秋、さらなる物価上昇による社員生活への影響を知った尾関社長は、同年11月に2023年4月の改定を一部前倒しする形で2,000円のベースアップを決定。セコムと同じ給与体系を持つグループ会社も、これに追随した。
労働組合との綿密な協議から従業員の思いを正確に把握
同社では、労使の協議体として、社長をはじめとした人事・業務の担当役員・責任者と労働組合(セコムライブリィーユニオン)が参加する「セコム社員中央審議会」を設置し、月1回定期的に開催しており、春季労使交渉での追加開催分を含めると、年14回開催している。
また全国においても、それぞれの地域を統括する本部組織と、その地域の労働組合支部が、毎月「セコム組織風土社員会議」を開催して、活発に意見交換を行っている。
同社によれば、労使の協議体のこのような開催頻度は、他社では例を見ないものではないかとのこと。綿密な協議を行うことによって、より現場の声を早く正確に拾い上げ、会社の施策や課題の解決に活かすことができているという。
今般のベースアップについても、労働組合から物価上昇の影響で従業員の生活が厳しくなっているという意見を社長が直接聞き取り、間を開けずにその実施を決定したもので、トップ自らが従業員の声に耳を傾け、直ちに課題を解決するという姿勢の一例である。
労働組合委員長の声
セコムライブリィーユニオン 中央執行委員長 伊藤芳雄さん
急激な情勢変化への対応として、社員のエンゲージメント向上に好影響をもたらす経営判断であり、更なる組織の活性化に期待しています。
お客様へ安全・安心を届ける従業員に、会社ができること
同社の就業規則第一条には、「会社の発展と社員の向上は一体不可分」という言葉が謳われており、これは「お客様に安全・安心をお届けし続けるためには、従業員の生活が安定していることが極めて重要である」という考え方に繋がっている。今般のベースアップにより、同社が従業員の暮らしに思いを馳せていることが伝われば大きな成果と考えているとのこと。
同社がこれまで業要拡大する中で様々な職種や働き方の従業員が生まれているが、引き続き労使の対話を深め、人材がいきいきと活躍できる、同社ならではの会社の在り方、従業員の在り方を模索していく。