賃金引き上げに向けた取組事例
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CASE STUDY 23
賃上げ取り組み事例 -
株式会社二宮
和菓子製造、販売、飲食業(甘味喫茶)
2023/12/25
新型機械導入を機に、継続的な賃上げに取り組む
業務改善助成金を活用して導入した新型包餡機により、課題であった人材不足問題に対応。2023年2月に全従業員の時給を一律100円アップした。
- 企業データ
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- ●代表取締役:二宮茂樹
- ●本社所在地:和歌山県田辺市
- ●従業員数:11名(アルバイト・パート9名)
- ●設立:1963年
- ●資本金:1,000万円
- ●事業内容:和菓子製造、販売、飲食業(甘味喫茶)
人手不足の改善に不可欠と一律100円の賃上げを実施
2023年に入って従業員が退職したことをきっかけに、従業員の新規採用の募集を行った。しかし、一向に応募者は現れなかった。
小規模の事業ゆえに、従業員一人であっても欠けることによる影響は大きい。しかし、田辺市の人口が減少し続けている影響からか、周囲の経営者の話でも人手不足が進み人材募集は厳しいようだと二宮社長は言う。
とはいえ、新たな人材をなんとか確保しなければならない。二宮社長は、これからの人材確保には賃上げが不可欠と考え、2023年2月に全従業員を対象に一律100円の賃上げを行った。
業務改善助成金で新型機械を導入
同社は、賃上げを検討していたときに業務改善助成金を知った。申請先である和歌山労働局と相談しながら手続を進め、短時間で多種類、大量の商品が製造できる新型包餡機を導入した。これによって餡を包む生地のロス率が大幅に軽減され品質も向上した。また、以前の機械では商品製造時に生地や餡の補充、調整や商品取り出しなどのために従業員3人が機械から離れられなかったが、新型機では従業員2人で対応することが可能となった。さらに、機械の清掃時間も短縮され、これにより生じた余剰時間を活用することで付加価値の高い新商品の開発に展望が開けたという。新型機械は操作も容易で、必要な調整が簡単にできるので、操作上のストレスも大幅に減り、従業員の仕事へのモチベーションも上がったそうだ。
新型機の導入によって生じた業務の効率化は、同社が抱えていた人手不足の問題を一定程度和らげることに繋がり「非常に助かった」と二宮社長は語る。
機械製造メーカーのノウハウは賃上げにもつながる
原材料費が値上がりしている今、商品の販売価格も上げていかなければならない。それがどこまで可能なのか。地域に密着した老舗菓子店だけに見極めは難しい。さらに継続的な賃上げのためには既製品の品質と付加価値の向上、新商品の開発も欠かせない。新たな設備投資も含め、常に先を読んでいかないと賃上げはできないと二宮社長。そのためには、導入した新型包餡機の能力をフル活用することはもちろん、機械製造メーカーが積み重ねてきた菓子業界のデータや菓子製造のノウハウが非常に参考になるという。機械製造メーカーとのよりよいコミュニケーションが、顧客に喜んでもらえる和菓子作りにもつながる、と語ってくれた。
従業員の声
A子さん(仮名/製造、接客)
午前中は製造の補助、午後はお店で接客をしています。導入した新しい機械は性能がよく操作が簡単で、今までの機械で感じたストレスがなくなりました。とても働きやすくなったと思います。賃上げは以前から社長にアピールしていたのですが、実際に上げていただいてとても感謝しています。買い物で、もう一品多く「自分へのご褒美」が買えるようになったのは、賃上げのおかげですね。