賃金引き上げに向けた取組事例
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CASE STUDY 45
賃上げ取り組み事例 -
デンタルクリニック江戸川橋
歯科医業
2024/3/29
歯科医院の激戦区にあって輝き続けるためには必須!
世界水準プラスαの医療提供を目指す賃上げ
患者の口腔内を、直接治療・ケアするデリケートな医療分野だけに、
献身性が求められるスタッフの日頃の労苦に報いたい。
- 企業データ
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- ●医院長:小川 理栄
- ●所在地:東京都文京区
- ●従業員数:6名
- ●設立:2019年7月
- ●事業内容:歯科医業
賃上げが果たした大きなモチベーションアップ
このクリニックのあるビルの100m圏内には、新目白通りという大きな通りを挟んだ向かい側のビル群に、歯科医院が3軒もある。文字どおりの「歯科医院激戦区」だ。20年前に開業したこのクリニックを現医院長の小川理栄さんが引き継いだのが、今から5年前の2019年7月。時を経ずしてコロナ禍に見舞われるという、厳しい時期を経て今日に至っている。それだけに、従来型の歯科治療とは一線を画するためにも、また、優秀なスタッフの確保を目的とした労働条件改善のためにも、最新鋭の設備投資は必須だと考えた。
一方で、「適度な昇給を、年に1回は実施したい」というように、賃金をはじめとする労働条件について、小川院長は細かく気を配ってきた。2023年1月にも、業務改善助成金を利用して賃上げを実施。このとき対象としたのは、非常勤のアルバイト社員2名。時給を、それぞれ90円、率にして約8%引き上げた。賃上げの目的は物価の高騰に対処するためというのが大きな理由だが、二人がとてもよく働いていてくれていたため、それに見合った給与が必要だと考えたためでもあった。そして、その効果は目を見張るほどに表れ、後輩のスタッフの指導も自然に買って出るようになったほどモチベーションのアップが見られたという。
賃上げも最新鋭の設備投資も患者の全身の健康と幸せに資するため
もともと、小川院長が目指してきたのは、患者の生涯にわたる健康管理を踏まえた、予防と治療を行う歯科医院だ。これは、歯や歯ぐきの健康こそが、全身の病気予防につながるという信念があったから。その目的を達成するためにも、歯科衛生士やデンタルアテンダントといったスタッフには、超がつくほど優秀な、しかも献身的な働きをする人材が必要と考えてきた。
だからこそ、賃上げに心を配るとともに、スタッフの労働環境の改善にも全力をあげてきた。世界基準をリードする米国製の治療用椅子や、骨の固さ(骨質)の診断までできる歯科用レントゲン(CT)装置、歯の治療に用いる「ハンドピース」と呼ばれるドリルの先端部分を、自動的に洗浄・注油・滅菌する機器なども、キャリアアップ助成金や業務改善助成金などを駆使して導入。これら最新鋭の設備投資が、患者の口腔内というデリケートな部分の治療やケアを行うスタッフの作業時間を大幅に短縮し、肉体的・精神的な負担の軽減に与えた効果は、計り知れないほど大きいものだったという。
小川院長は、自分と一緒に患者と向き合い、患者の痛みや気持ちに寄り添ったきめ細やかな作業をしてくれるスタッフに、賃上げなど、できる限りの処遇をしてあげたいと、常にその機会を探っている。
スタッフと共に、ひとしく豊かな老後を迎えるのが夢
インタビューが終わるころ、賃上げなど処遇改善に関する将来の夢を伺いたいとの記者からの問いに、「このクリニックのためにはもちろん、患者さんのために献身的に働いてくれるスタッフが、将来、退職後に必要とされる“老後資金の2,000万円”を貯められるくらいの賃金を保証できるようになったらいいですね」との答えが即座に返ってきた。なるほど、今回の賃上げは、優秀なスタッフの確保という短期的な目的のためばかりではなく、また、近隣の歯科医院群との競争のためだけでもなく、30年、40年先を見据えた「攻めの一手」だったのだ。
最新鋭の検査・治療機器を使いこなす確かな技術力に加え、患者に寄り添う献身的な対応ができる優秀なスタッフ、そして、クリニックだけでなくスタッフの将来についてまでも具体的に思いを馳せる小川院長。デンタルクリニック江戸川橋は、歯科医院激戦区にあって確かな輝きを放っている。
従業員の声
今野さん(クリーンスタッフ)
賃上げの話を伺った時、正直嬉しかったです。助成金でDAC(自動的に洗浄・注油・滅菌する機器)を新たに導入していただいた事で能率が上がり、余裕を持って手が回らなかった仕事にも対応出来るようになりました。
また、女性ばかりの職場なので、気を遣わずに気持ち良くお仕事が出来ます。お給料も含め、やりがいもあり、楽しく働ける職場です。