賃金引き上げに向けた取組事例
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CASE STUDY 69
賃上げ取り組み事例 -
株式会社ホテルグランド東雲
ホテル業など
2026/4/23
従業員の声を起点とした業務改善と職場環境向上の実践
継続的な改善と挑戦で選ばれ続けるホテルへ
- 企業データ
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- ●代表取締役:市川 一隆
- ●本社所在地:茨城県つくば市
- ●従業員数:110名
- ●設立:1968年(昭和43年)
- ●資本金:1,000万円
- ●事業内容:ホテル業など
(パーティ会場「インペリアル」)
(宴会場「竹の間」)
伝統を守り未来を拓く経営理念
同社は1968年、旧千代田町(現在のかすみがうら市)に「ドライブイン東雲店」を開業し、1978年には現在地に大型宴会場を備えた「グランド東雲」を新設。客室棟やウエストタワーの増設を重ね、総合ホテルとして成長してきた。
また、常陸宮両殿下、スペイン国国王・王妃両陛下、ベルギー国国王・王妃両陛下の行幸啓に伴う昼食会など、格式ある行事に多数携わり、創業50年近く、地域に根ざした「迎賓館」として親しまれている。
同社の経営理念は、「地域に根ざし、地域になくてはならない企業を目指す」という先代からの精神を基盤としている。ドライブイン事業から縁のなかったつくばでの開業へと挑戦を重ねた先代は、常に“地域とともに歩むこと”を大切にしてきた。この理念は現在も受け継がれ、「変えるべきところは変え、守るべき核心は守る」という“不易流行”を指針としている。地域イベントへの積極参加や、敷居の高さを払拭して誰もが気軽に訪れられる施設づくりにも取り組み、地域に必要とされる企業像を追求している。
従業員の声を起点とした業務改善と職場環境向上の実践
同社では、長年使用していた食器洗浄機において、油汚れなどの洗い残しが多く発生し、拭き取り作業に時間を要していた。
また、洗浄機ホースが汚れ物で頻繁につまり、そのたびに機械が停止して作業効率が大きく低下しているため改善して欲しいという従業員の意見が出ていた。社会保険労務士から業務改善助成金があることを知ったため、同助成金を申請し、コンパクトで高性能の食器洗浄機を導入した。その結果、洗浄力が向上し、洗い残しが大幅に減少したことで、作業工程がスムーズに流れるようになった。加えて、機械停止の原因となっていたホースの詰まりも解消され、安定した稼働が可能となった。
宴会や婚礼など、大量の食器が短時間で洗い場に持ち込まれる繁忙時においても、効率的に洗浄が進むようになり、従業員の負担軽減につながっている。導入後は、実際の作業時間が1日あたり約1時間程度削減されるなど、目に見える効果が得られたほか、従業員からは「食器につやが出た。」との意見も上がっている。
また、コロナ禍を経て、当社のホテルには徐々に宿泊客が戻りつつある。しかし、ライフスタイルの変化により婚礼需要は減少し、依然として厳しい経営環境が続いている。こうした状況下においても、日々の運営を支え続けてきたのは、現場で懸命に勤務する従業員一人ひとりの力である。その働きに応えるため、パート従業員を中心に、今後の人材確保とモチベーション向上を図るため、当社はパート従業員を中心に賃上げを実施した。
業務改善助成金の申請は今回が初めてであったが、労働局に相談しつつ進めたことで大きな負担もなく手続を行うことができた。他の助成金と比較しても、申請に際して特段の苦労は感じなかった。ホテル業務のさらなるシステム化を推進するため、引き続き助成金の活用を検討している。
(業務改善助成金の活用により同社に設置された食器洗浄機)
継続的な改善と挑戦で選ばれ続けるホテルへ
同社で総務部において労務を担当する武藤和望氏は、「開業以来、常にお客様に選ばれ続ける存在であるために、変革をいとわず計画的な取り組みを積み重ねてきた。その歩みの中で、国の助成金制度は、老朽化した設備やシステムの更新を可能にし、サービス品質向上に大きく寄与している。今後とも、これら国の支援策を積極的に活用し、より良いホテルづくりに努めていく。」との展望を示している。
同社は、従業員が働きやすい環境づくりにも力を入れ、週休2日制やフレックス休暇の導入、マニュアル整備など、サービス業の定着率向上に向けた改革を進めている。同社は、つくばの発展とともに歩みながら、これからも地域に愛される企業を目指して進化を続けていく。
(総務部で労務を担当する 武藤和望 氏)














