賃金引き上げに向けた取組事例

CASE STUDY 72
賃上げ取り組み事例

株式会社アルファ・オイコス

産業用ヒーター・加熱装置等の開発、製造など

2026/4/23

百年企業の精神を受け継ぎ、地域とともに未来を創るものづくり企業
業務改善助成金を活用したIT資産管理強化と生産性向上の取組

company 企業データ
  • ●代表取締役:蜂谷 真弓
  • ●本社所在地:東京都墨田区
  • ●従業員数:120名
  • ●設立:1999年
  • ●資本金:6,000万円
  • ●事業内容:産業用ヒーター・加熱装置等の開発、製造など 

(同社佐倉事業所正面)

(高品位ホットプレート。半導体工程における熱板の加熱、冷却に活用されている)

(同社でのインターンシップの様子)

百年企業の精神を受け継ぎ、地域とともに未来を創るものづくり企業

同社は1999年、創業100年を超える歴史を有し、H2Aロケットに搭載される液体燃料加熱用ヒーターなど、宇宙開発分野等において高い技術力を発揮してきた坂口電熱株式会社の生産部門から分社し、設立された企業である。以来、国内外の幅広い産業分野に向け、「ものづくりにおける加熱工程」を支える産業用ヒーター、センサー、コントローラーをオーダーメイドで供給し、高い信頼を築いている。
同社では、創業以来掲げる「ご恩返しの経営」の理念のもと、地域雇用の推進とともに、子育てを終えた女性やシニア従業員が活躍できる環境を整えるほか、従業員の多数を占めるパート従業員にも年間10日以上の年次有給休暇の取得を奨励するなど、誰もが長く勤め続けられる職場づくりに取り組んでいる。このほか、正社員への登用制度(ステップアップ制度)を設け、従業員の意欲と成長を支えながら、キャリアアップの道を開く仕組みを構築している。
また、物価上昇が続く今般においても、同社は戦力であるパート従業員へ利益を還元する姿勢を貫いている。最低賃金の発効日よりも数ヶ月早い段階で賃上げを行い、賞与も年2回支給するなど、生活の安定と働きがいに配慮した取組を実施している。
さらに、同社は、自社の発展と心豊かな社会づくりのため、CSR活動にも力を注いでいる。地域のNPO法人「N・Cさくら会」と連携し、学習会や季節行事、災害募金等を通じ、地域住民との結びつきと豊かな地域社会の醸成に寄与している。加えて、平成16年度以降、大学3年生を対象とした2週間のインターンシップを実施し、ものづくりの現場を体験する機会を提供するほか、年2回の構内献血を恒例行事として実施し、従業員一人ひとりの善意が社会全体の生命を支える力となるよう取り組んでいる。

業務改善助成金を活用したIT資産管理強化と生産性向上の取組

同社では長年、情報システム部門の担当者がPCやソフトウェアの情報をExcelで管理していたため、情報漏洩のリスクが高く、運用負担も大きかった。担当者は1名のみで、しかもPCは150台に及ぶため、年1回の棚卸し作業だけでも約30時間を要していた。さらに、OS更新やセキュリティパッチの適用、 不正デバイスの検知、ネットワーク障害箇所の特定といった作業にも時間がかかり、インシデント対応は1時間以上を要していた。担当者が敷地内12〜13棟を巡回しながら150台のPCを確認する必要があり、負担は極めて大きかった。この状況を改善するため、情報システム部門が業務改善助成金(60円コース)の活用を提案し、IT資産管理システムを導入するとともに、パート従業員の賃上げを実施した。
IT資産管理システム導入後は、PC情報の自動収集が可能となり、ソフトウェアやセキュリティ情報の一元管理、リモート操作によるメンテナンスが実現した。その結果、棚卸し時間は30時間から15分へ、不正デバイスの検知作業は1時間から15分へと大幅に短縮された。現場巡回も不要となり、担当者の負荷は大幅に軽減。
IT資産管理システム導入には費用を要したものの、IT資産管理の効率化とセキュリティ水準の向上が同時に進み、情報システム部門の業務改善と労働能率向上に大きく寄与することとなった。

(Excel調の管理画面。システム情報に簡単にアクセス・操作可能である)

社業を通じた社会へのご恩返しのために

同社の管理部長中野芳典氏は、「関連会社である坂口電熱株式会社の創業者が掲げた『私たちは生かされている 企業経営はその社会恩に報いるものである』という精神を揺るぎない基盤とし、事業のすべてを公への奉仕として位置づけている。また、社是となっている『聖賢の教学』に学び、道徳と経済の合一を経営の根本原理とし、長年培った技術と良識を磨き上げ、広範な産業における熱課題へ確かな解を提供している。今後とも、顧客価値の極大化を目指し、品質・安全・信頼を重んじることは当然のこと、地域の雇用を守り、企業の持続と地域社会の発展に寄与していきたい。」と話す。同社は、創業者精神である「ご恩返しの経営」を受け継ぎ、研究開発の深化や環境に配慮した電熱技術により次代の規範を拓くとともに、事業活動やCSR活動を通じて社会の発展に寄与することで、地域や従業員とともに歩み続ける企業としてその存在感を高めている。

(左から管理部 石川北斗氏、管理部長 中野芳典氏、管理部係長 五十嵐倫子氏)