賃金引き上げに向けた取組事例
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CASE STUDY 77
賃上げ取り組み事例 -
有限会社天野鉄工所
製造業(大型機械加工、機械部品加工等)
2026/4/23
働き方改革推進支援助成金を活用し、時間単位年休と教育訓練休暇の導入及び5%の賃上げを実現
熱意とこだわりを持った職人たちのための環境を
- 企業データ
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- ●代表取締役:天野 敬三
- ●本社所在地:徳島県徳島市
- ●従業員数:27名
- ●設立:昭和45年
- ●資本金:800万円
- ●事業内容:製造業(大型機械加工、機械部品加工等)
正面看板
よそにできないことで差別化を
昭和45年創業の有限会社天野鉄工所は、大型機械加工や機械部品の製造・加工を生業としている企業で、過去には人工衛星「はやぶさ」の部品製造に携わった経験もある。賃加工が主な事業で、依頼元から提供された原材料を用いて、依頼された仕様書に従い機械部品を製造する一品料理。「よそにできないことをしたい」が同社の理念であり、職人一人ひとりがこだわりを持って作ったこの世に2つとない製品は、日本中の企業からその高い技術力に厚い信頼を置かれている。 従業員である職人として、若い層で20代から70歳を超える方まで幅広く在籍している同社。それぞれが経験を積む中で段階的に技術力を身に付け、自身の技術に誇りを持っている。中には、工業高校を卒業しておらず、図面を読む勉強から始めた若手もいるが、今ではそれを感じさせない程の技術力を身に付け、夢中になって仕事に励んでいる。高い技術を持つ職人は、大手から指名で仕事を受けることも。最近は日本にはまだ何台とない製造機械を導入し、職人たちは大きな仕事や難しい仕事に対して情熱を持って挑戦し続けている。 そんな同社では、60歳以上の職人が多く活躍している。各職人の技術に見合った賃金を支払っていく方針を掲げ、定年後に賃金を引き下げることはしない。職人たちが長く安心して働く環境を整備するためには、生産性向上が不可欠であった。
門型5面加工機
大型の加工対象物を一度の段取りで「上面+4側面=計5面」を加工できる工作機械
ラジアルボール盤
大型の加工対象物に対して穴あけ・座ぐり・リーマ加工などを柔軟に行える大型ボール盤
時間単位年休と教育訓練休暇の導入及び5%の賃上げを実現
同社では従来、製造した製品を依頼元の発注者が引き取りに来ていたが、最近になって納品をお願いされることが増加。元々保有していた軽トラック1台で、納品先と事業場を行ったり来たりするピストン納品をしていた。遠方の大阪府まで複数回に分けて納品に行くこともあり、荷積みや引き渡しまで含めて2便目以降は就業時間内に帰社することができず、残業が生じる事態に。
こうした状況を改善するため、同社は自動車(バン)を導入した。これによって2台同時出発することができ、就業時間内に帰社することができるように。また、軽トラックでは雨の日には製品に錆止めの処理を行い、製品が濡れないよう荷台のシート掛けを入念に行い、30分から45分程の時間を要していたが、バンではその必要がなくなりシート掛けに要していた時間をそのまま削減することができた。
こうした生産性向上に向けて取り組むにあたって、同社は働き方改革推進支援助成金を活用し、時間単位年休と教育訓練休暇の特別休暇の導入を成果目標に選択した。とりわけ時間単位年休が従業員には好評で、子どもの送り迎えなど家族に向き合う時間が作りやすくなったとの声も。教育訓練休暇については、資格取得に活用できることを社内で周知を行っている。活用する従業員がまだ少ない現状だが、同社が誇る高い技術力を支える柱のひとつとなることが期待される。助成金を申請するにあたっては、賃上げの人数や上げ幅に応じた加算制度を活用し、最低賃金近くの賃金だった従業員を中心に7名の賃金を5%引き上げることで、より多くの助成金を受け取ることができた。
熱意とこだわりを持った職人たちのための環境を
天野敬三氏(代表取締役)と天野多栄子氏(取締役)は、「年齢に関係なく、従業員一人ひとりの技術力に見合った賃金を払えるよう努めて参りたい。そのためにも常に前を向いてやれることはやっていくべき。最近では生産性向上に向けた取組が社内で広がり、最初は遠慮しがちだったのに、従業員から積極的に出てくるようになった。」と話す。自身の仕事に熱意とこだわりを持つ従業員の方々がより一層仕事に向き合えるよう、そして、能力に見合った対価を示せるよう、同社は今後も生産性向上に励んでいく。
( 左 )天野 敬三氏(代表取締役)
(中央)佐藤 明男氏(機械部従業員)
( 右 )天野 多栄子氏(取締役)














