賃金引き上げに向けた取組事例

CASE STUDY 79
賃上げ取り組み事例

株式会社豊後大野クラスター

農作物の食品加工、農業など

2026/4/23

食材を新鮮に無駄なく活かして、国・地域の課題を解消
働き方改革推進支援助成金を活用し、業務効率化と従業員の身体的負担を軽減
特産品の開発・ブランド化、雇用確保などを通じて、食と農に貢献

company 企業データ
  • ●代表取締役:後藤 龍一郎
  • ●本社所在地:大分県豊後大野市三重町
  • ●従業員数:13名
  • ●設立:2011年(平成23年)
  • ●資本金:900万円
  • ●事業内容:農作物の食品加工、農業など

食材を新鮮に無駄なく活かして、国・地域の課題を解消

同社は2011年(平成23年)に大分県豊後大野市三重町で食品加工会社として創業。現在は業務用の野菜加工にとどまらず、自社農場でさつまいも(紅はるか)や唐辛子も生産。国内の大手食品メーカーやレストラン等のほか、国外(イラン、ベトナム等)にも販路を拡大している。
創業者の後藤龍彦氏(現・代表取締役会長)は、元々印刷業の別会社を経営していたが、豊後大野市三重町での大手食品メーカーの工場撤退を機に、「地域の雇用確保等に貢献できれば」と当該工場の跡地を活用し、現在の「株式会社豊後大野クラスター」を創業した。
「クラスター」とは集合体を意味する。個の力が集まり、“みんなでやる”を理念とし、その集合体で価値を生み出していきたい、その想いを込めてこの名称を選んだ。
同社の強みは、どの企業グループにも属していないため、日本全国の農作物生産者から食品加工を受注できること。農業人口が減少し、「農作物の生産はできるが、加工まで手が回らない…」と悩む地方の農業者の受け皿となっている。美味しさや安全性には全く問題がないにもかかわらず、市場に出回らない規格外野菜や余った野菜を活用し、フードロス削減にも貢献。また、創業以来、農商工連携や農福連携にも積極的に取り組み、地域の一部に・地域の中心になれる企業を目指している。

働き方改革推進支援助成金を活用し、業務効率化や従業員の身体的負担を軽減

全国から送られてくる農作物を加工する際、検査・選別→洗浄→加工→殺菌・冷凍…等の多くの工程を経る。創業当初は、手作業でさつまいもに付着した土を払ったり、手作業で加工した野菜を袋詰めしたりしていたが、これらは人手も必要で、身体的にも負担が大きい作業だった。
同社の従業員の平均年齢は約63歳。地域の過疎化や高齢化により、人材確保も難しいなか、業務効率化を通じて従業員の負担を軽減し、少しでも長く従業員に勤めてほしいと考えていたところに、地域の商工会から、働き方改革推進支援助成金や業務改善助成金といった政府の支援策を紹介された。
そこで、である3%の賃上げや時間単位年休と特別休暇の導入を実施し、働き方改革推進支援助成金を活用した設備投資として、リアオートシール機、カンショ洗浄研磨機、食品脱水機などを導入した。これにより、これまで複数人で行っていた作業を省力化し、手作業を自動化できたのみならず、何時間もかけていた乾燥作業の時間を短縮するなど、大幅な業務効率化を実現した。特に、野菜の封入作業については、元々1人が野菜を入れた10kgの袋を持ち上げ、もう1人がシール機にセットして行う2人がかりの作業だったが、リアオートシール機の導入により、台の上に袋を載せ、機械にセットするだけの1人作業となった。作業担当の従業員の腕・腰への負担軽減のほか、余剰人員を他の作業に回すことができ、作業工程全体が効率化した。他方、野菜のカット作業は、野菜一つひとつ形や傷んでいる箇所が異なるため、どうしても人間の手作業で行わなければならない。そのような手作業が必要な工程に、人員を集中させることができるメリットは大きい。
同社では助成金の利用に当たって、「時間単位の年次有給休暇」と特別休暇は「病気休暇」を導入し、就業規則の改正を行った。特に「時間単位の年次有給休暇」は従業員からも好評で、親の介護をしている高齢の従業員がデイサービスへの送迎に利用するなど、広く活用されている。

(リアオートシール機)

(カンショ洗浄研磨機(左)、食品脱水機(右))

特産品の開発・ブランド化や雇用確保などを通じて、食と農に貢献

同社は地域農業の振興の一環として、九州の特産品であるさつまいものブランド化「くれないはるか」にも取り組んでいる。「くれないはるか」は日本国内だけではなく、ベトナムで開催した試食会でも好評で、農商工連携により販路を拡大していきたい考えだ。また農福連携においては、農作業部門で障害者を雇用するなど積極的に取組んでいる。
今後も政府の支援策を活用し、作業の省力化・効率化を進めながら、「地域の一部になる」をスローガンにさらなる成長を目指す。

(左から、代表取締役社長 後藤龍一郎 氏
特別顧問 小笠原国英 氏)